2015年上半期の漫画雑談
特にランキングとか関係なく、上半期面白かったものを放流しときます。
上半期1巻発売
MUJIN -無尽- / 岡田屋鉄蔵
自分の中で既に年間ベストに君臨しているし、覆りそうにない。
幕末、隻腕の剣士として知られる伊庭八郎の生涯を描く。歴史物であるがゆえに、いつか八郎が迎える悲惨な結末と対比する形で、"かつてあった幸せな日々"がただ愛おしい。ジャンル「伊庭八郎」が旗手、岡田屋鉄蔵の晴れ舞台。とくとご覧あれ。
鵺の絵師 / 猪川朱美
肖像画に描かれた人物が亡くなるという噂が絶えない、そんな力もないただの絵描きのお話。そこに、生きている者が駄目なら死者を、と依頼が舞い込むわけです。本人と見まごう絵を通して、依頼者達が心の整理を付け、少しだけ前に進む、そんなお話。作中に仄かに香る、未練、切なさが好い作品です。
駄目な石 / 平方イコルスン
日常で使うわけない、いや、辞書でたまたま見つけて身内で2日くらい流行るかも、といった感じの語彙を女子高生がさらっと口に出すだけでも最高なのに、わけのわからない絶妙な空気感と、楽園掲載作らしく、ほんのちょっぴりのラブコメがエッセンスとして入れられることで、最高にツボに入ってます。
お尻触りたがる人なんなの / 位置原光Z
平方イコルスン先生と似てるようで、またなんか違うんだよなー、空気が。主に下ネタの方向に駄目な感じの空気感というか。お腹抱えて笑うくらい大好きですが、オススメしたら女子に「サイテー」って言ってもらえそうなんでオススメです。
兄妹 少女探偵と幽霊系感の怪奇事件簿 / 木々津克久
前作「名探偵マーニー」と同じく探偵モノですが、少しオカルトチックに。オカルトというか、人間の怖いところが可視化された感じ。相変わらずテンポよく話が進んでいて、良いミステリードラマシリーズを見ている感覚ですわ。
もののがたり / オニグンソウ
構成力高い。世界観、キャラクターの性格、関係、能力、を示しながら、ラストで「良縁」と締めることで、作品テーマまで綺麗に導入しきった1巻。決めゴマ、決め台詞、決め表情。こういう"見得"を綺麗に決めれる漫画は最高ですわ。
スモーキーゴッドエクスプレス / 玄鉄絢
隕石衝突事故により、かつかつになってしまった星間移民船の中の物語。ある日突然、今の人口を維持できないので、重病患者、犯罪歴のある人、それに1世帯につき1人が冷凍処置します、と言われたら。どっちに進もうとバッドエンド待ったなしっぽくて本当に怖い。怖いよ。
猫瞽女 / 宇河弘樹
ウガワさんの新作!アメリカではなく、ソ連に占領された戦後日本、その猫社会。猫達にも社会があり、人情があり、共産主義があり、ブルジョアがあり、チェキストがあり、そして、猫で瞽女で始末屋による殺陣まである。もう、最高じゃないすか。
塩田先生と雨井ちゃん / なかとかくみこ
絵柄が最強に好みなんですよ。それで今時珍しいくらいマンガ表現が古いんですよ。そんでもってすんごく可愛いラブコメしてるんですよぉ。どうしましょう、こんな線の細い少女漫画な女の子に「バカァ!!」って言われたい。
片想いフィーバー / 桑佳あさ
上半期ニヤニヤ漫画枠筆頭。もう少し詳しい説明は前回記事を参照のこと。幼馴染という最強属性をもってしても、片想いとはままならぬものよ…。でも、青春全力全開で暴走しながら登場人物みんなが片想いしている様がほんんんんんとうに可愛い。
魔砲少女4号ちゃん / 丸川トモヒロ
前作、成恵の世界の劇中劇が10年の時を越え再臨。ストパン、まどか、ガルパン、成恵の世界以後の今、2015年に帰ってきたこと、それはこの作品にどう影響を与えていくのか。10年前、何ものにもなれなかった少女の物語はどこへ向かうのか。成恵の世界を描き切った丸川先生のSF解釈エンジンが織りなす魔砲少女ファンタジーの今後が本当楽しみです。
上半期既刊
ib -インスタントバレット- / 赤坂アカ
ibは今年に入って初めて読みました。が、なんですか、この懐かしい匂いは。中西達郎先生と同じ匂い。中二病臭く最低な人間なのに文字通り死ぬほどお人好しな主人公とか、クロくんとか、「過去と未来に初恋を」とか。中西達郎以外に、同じ方向を見据えているストーリーテラーがいたんだ。それは間違いなく幸せなことなんだよ。
碧き青のアトポス / やまむらはじめ
ようやく3巻まで追いついたわけですが、これ、やまむらはじめ先生の新境地じゃないでしょうか。主人公がついに、ウッソ・エヴィンの呪縛から解き放たれたというか。
主人公はメガネでチビで運動もできない、もやし現代っ子だけど、一目惚れしたヒロインを守りたい一心で物語に関わり続ける。最初、そこには良き導き手がいて、守られながら、少しずつ成長できた。そして、師の手を離れ、子どもたちだけの冒険が始まる3巻。助けはもうない。ヒロインを守るのは自分だ、それが動機で、それだけで十分なんだ。そうか、これはヒーローものだったんだ。それに気づいて急激に面白くなりました。
月曜日は2限から / 斎藤ゆう
上半期の再読回数トップが本作です。言いたいことは前回記事で話したので、内容はそっちを参照されたし。あの記事を書いた後も何度も再読してまして、読むたびに作品愛が深まっていく実感がありました。やはり、漫画力、作品愛を高めるには再読が一番ですね。たぶん、今またベスト100なんかやったら、確実にランクインしてますね。20位圏内は固い。
ラストゲーム / 天乃忍
上半期というか、LaLa7月号(5/23発売)以降がヤバかった。LaLa付録と、8巻特典のドラマCDを1ヶ月ほぼ毎日再生し続けたおかげで、日々脳内お花畑で幸せ過ぎました。
いやさ、LaLa付録ドラマCDでは温泉回で柳くんと九条さんが果てしなく素のままの二人でしたし、久々の悪役柳くんが見れたし、九条さんに敗れる柳くんとか、温泉で壁一枚隔てた所で二人で星を見ていたりとか、藤本さんの天真爛漫さとおっ○いのお話まで飛び出したりとか、色々とひっくるめて最高すぎました。
8巻特典ドラマCDはさ、柳くんも九条さんも「えへへ」と上機嫌で、不憫な柳くんも堪能できたし、「あーん」が音声で聞けたし、藤本さんの「宮くん」も聞けたし、相馬くんもなんだかんだで可愛いし、例の膝枕にデコちゅーの「ちゅ」の音まで聞けたし、柳くんのスク水フェチから発展した二人の海デート妄想まで捗るし、もう、本当にありがとうございました。アニメ化待ったなし!
あとがき
個人的に、今年の上半期は色々と漫画読みとして充実してましたね。ニコ生の方では漫画クロスレビューで定期的にレビュー寄稿してみたり、Twitter漫画語り主催の「漫画 de ビブリオバトル」にも3回ほど参戦させていただきましたし。 この調子で下半期も漫画力(棋力のようなもの)を高めていけたらなと思います。
では、また。